イジワルなキミの隣で
俺と智沙はいわゆる幼なじみというやつで。
俺はそんな智沙のことを物心がついた時から好きだった。
「あ、見て光流。今日は満月だよ」
「知ってるよ」
智沙の嬉しそうにはしゃぐ横顔が可愛くて、月なんて目に入らずにその横顔を見つめていた。
「光流、見すぎだから。そんなに見ないでよ。普通に照れるし」
「いいだろ、付き合ってんだし」
「いや、照れるって話だよ」
「照れとけ照れとけ」
「えー、あはは。やだー」
「やだって言うな」
智沙の頭を軽く小突く。
すると智沙は唇を尖らせながら“もう”と小さく言って、俺の腕をギュッと抱きしめた。