イジワルなキミの隣で
「私、諦めませんから‼︎」
そう言い終えたところで、光流先輩はスッと立ち上がって歩き出した。
まるで私なんて存在していないかのように、スタスタと歩く速度を早めて去って行くその背中。
それはいつものことで、私が屋上に来てから先輩と過ごす時間なんてほんのわずか。
「よくやるねー、毎日毎日」
フェンスに寄りかかる私に、ヘラヘラ笑って声をかけて来たのは光流先輩の親友の佐伯航希(さえき こうき)先輩。
佐伯先輩は光流先輩よりも明るいオレンジに近い茶髪に、制服もかなり着崩していて派手な感じ。
それでいてイケメン。
なんでも校内で一番モテているとか。
明るくて目立つタイプだから、佐伯先輩の周りにはいつもたくさんの人が集まる。
クラスでも多分、ムードメーカー的存在。
愛想が良くて優しいけど、女たらしだと有名で校内に彼女が何人もいるとか。
「今日も相変わらずカッコ良かったです‼︎」