イジワルなキミの隣で
白い目でその横顔を伺う。
佐伯先輩は前を向いたままこっちを見ようとはしない。
月明かりに照らされた横顔はやっぱり綺麗だった。
「俺の場合は遊んでる女しか寄って来ねえし」
「実際遊んでるからでしょ?彼女だってたくさんいるみたいだし」
そんなことしてたら当然そうなると思いますけどね。
「はぁ?いねえよ。彼女なんて面倒くせえモンは」
“どんな噂だよ”と佐伯先輩は私の言葉を笑い飛ばした。
め、面倒くさいって……。
そういうことを言ってるから
そんな人しか寄って来ないんじゃないの?
自業自得でしょ。
「先輩も本気で人を好きになったら変わると思いますけど?」
「はぁ?面倒くせえだけだろ、本気の恋なんて」
「…………」
もう何も言うまい。
何を言ってもムダな気がする。
疲れるのでスルーを決め込んだ。