イジワルなキミの隣で


白い目でその横顔を伺う。


佐伯先輩は前を向いたままこっちを見ようとはしない。


月明かりに照らされた横顔はやっぱり綺麗だった。



「俺の場合は遊んでる女しか寄って来ねえし」



「実際遊んでるからでしょ?彼女だってたくさんいるみたいだし」



そんなことしてたら当然そうなると思いますけどね。



「はぁ?いねえよ。彼女なんて面倒くせえモンは」



“どんな噂だよ”と佐伯先輩は私の言葉を笑い飛ばした。



め、面倒くさいって……。


そういうことを言ってるから


そんな人しか寄って来ないんじゃないの?


自業自得でしょ。



「先輩も本気で人を好きになったら変わると思いますけど?」



「はぁ?面倒くせえだけだろ、本気の恋なんて」



「…………」



もう何も言うまい。


何を言ってもムダな気がする。


疲れるのでスルーを決め込んだ。


< 88 / 420 >

この作品をシェア

pagetop