シェアハウスのミュージシャン

by龍広




ピッ!!

「一本!!」

「「「うわぁーーーーー!!!」」」

「うしっ!」

「やったー。沙織ちゃん。つよすぎーー」



俺と賢介と哲。そして姉貴で沙織の試合の応援に来ている。


今は3試合目。つまり準々決勝を終えた所だった。

もちろん今の試合も前の試合も余裕がちだった。




「沙織ちゃん、何処だろう?」

「あ!沙織先輩の知り合いですか?」

「ああ。」

「沙織先輩なら、今外でご飯食べてますよ。」

「ホントー!ありがとー!よし!行くよ」




「沙ーー織ーちゃーーん。」

「小百合さーん。それに皆!」

「おつかれ!」

「ありがとうございます!」

「余裕がちだったな。」

「いやいや、」

「でも前の試合も余裕だったしな。」

「いや。くじ運が良かっただけだよ…」

「いや。お前は強いな!」

「俺、勝てる気がしねー…」

「確かに、哲なら勝てるかな?」

「…」

「うそうそ。ニコッ!」

「そーいや、次勝てば?」

「優勝…」

「すごーい!」

「でも、次の相手、去年まで一回戦敗退だったのに、今年は優勝候補に余裕がちしてるらしいんです…」

「…」

「でも!勝ちます!」

「うん!声が枯れるまで応援する!」

「だな!」

「あ!はい。これ、」

「あ!氷!!ありがと。」

沙織は俺から氷を貰うとすぐさま手首に当てた。

「手、痛いのか?」

「あー。さっきの試合で相手が変な方向に曲げて…」

「見せて!」


「…うわぁ。」

「なに、姉貴?」

「腫れてる…」

「え?…本当だ…」

見ると沙織の右手首はプクッと腫れていた。

「大丈夫なのか?」

「…うん!あと1試合だし。」

ポンッ。


「ッ!!!!!!!!」

「ほら痛いんじゃねーか。」

「…うっ…」

「やめとけ。それ以上酷くなるぞ!」

「…いや。出る!」

「出たってその手で勝てんのか?」

「…うっ…か…つ!勝つ!!」

「でも!」

「最後の試合なんだよ?この試合で悔いを残したくないの…」

「…分かったよ…頑張れよ。」

「うん!絶対勝ってやる!」
< 11 / 167 >

この作品をシェア

pagetop