シェアハウスのミュージシャン


光栄と別れた後、タイミング良くピロピロっとポッケに入っていたケータイがなり出した。



ディスプレイには、ひろ っと書かれてあった。
私は画面をスッと横にスライドさせて、耳にケータイを当てた。


「もしもし?沙織⁇」

「うん。」

「今どこにいる?」

「観覧車の前だけど、」

「今から行くわ。」

「はーい。」




プツッと電話を切り近くにあった一口カステラを買ってベンチに座った。



「沙織ー。」

「ひろ!!」


「あれ?賢介達は?」

「あぁー。賢介と哲は、お化け屋敷に行った。」

「ひろは行かないの?あ!まさか怖いのが苦手だったりして?」

「いや。別に…なら行くか?」

「え?!あ、いや。私は…ハハハッ」

「なら行くか!!」

「私は…いいよ。」

「まぁまぁ、行くぞ。怖くないんだろ?」

「〜〜〜〜〜っ!!!……こっ怖い…です…」

「だろうな。」

ちくしょーーー。このドSがーーー!!

まぁ、行かなくて良かった。

私はお化けとか、無理!
わざわざ、行く意味がわかんない。

良かった。賢介達と一緒じゃなくて。あの2人なら、絶対行かされてただろうな…




「あ!そういえば、光栄こっちに引っ越してくるんだって。」

「そーなのか?」

「うん!学校もこっちにくるんだって。楽しみだね。」

「あー。そーだな。」

ん?なんか、機嫌悪くなった?


「さっ、なんか乗るか?」

「う、うん!のろのろ!」

やっぱり気のせいかなー。




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