精一杯のLOVEをあなたに。。。



「ここ…俺のお気に入りの場所なんだ。」


芝生に座って嬉しそうにそう話す斗真の姿に、つい笑ってしまった。


「斗真ったら、ホントに自然が好きなんだね~。

だけど…ちょっと寒いよ~風邪ひかないでよ?」



「…あっ…俺の事よく知ってんだな?」


「あっ!ほらっ~芝生!!


初めてのデートで行ったんだよ~?

バイクに乗ってさぁ~
広い芝生の上で、お弁当食べてほんと気持ちよかったんだから~」


あの初デートの日の幻想的な芝生の場所の事を思い出した。


一人でテンションが高くなってしまったけど、斗真の反応は低い。


「…そうなんだ?…」


覚えていない斗真からは当然、そっけない返事がかえってくる。


私は落ち込まないで話題を変えた。


カズくんの話やりゅうさんの話。


何を話しても新鮮な感じがして楽しく会話が続いた。


でも、しばらくして


「俺さ…明日退院するんだけど。

しばらくカズの家で世話になることに決めたんだ…」


事務的な連絡事項みたいな、あまりにもあっさりとした言葉。


頭の中で理解するのに時間がかかったけど…


それって…


もう、私の部屋には戻らない事を意味するんだって、ようやく理解できた。
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