精一杯のLOVEをあなたに。。。
いつもなら浅い眠りにつけるのに
今朝はとんだ邪魔が入った?
ブルブルブルブルブル―
静かなタクシーの中で携帯の振動音が響いた。
…誰よ?
仕方なく鞄の中から携帯を取り出して、受信メールを開く。
「香織かぁ…」
香織を初めて『エンジェル』に連れていったあの日から、もう2ヶ月が過ぎていた。
私たちはあれから何度も通い、いつのまにかエンジェルの常連客に浮上した。
彼と香織は、約束通り二人で食事に行った。
お店にいる時と変わらない気配りと、飽きさせない会話。
更に彼に夢中になった様子?
ただ…
香織の心とは裏腹に、二回目のお誘いが全くなくて、新たな戦略に乗り出すつもりらしいメールが今、送られてきた。
『葵~バレンタインなんだけどさ…
斗真に手作りチョコなんてどう思う?
ちょっぴり重いかな?』
『手作りって?
香織作ったことあったっけ?』
高校生みたいな香織を、可愛らしいなと思いながら送信。
もうすぐバレンタインデーかぁ…
なのに、軽い溜め息が出そうになる。
何であたしはこんな事になっちゃったんだろ?