反響ノイズ

恥ずかしいような悔しいような感覚に襲われる。
何これ…

男の顔を見ることが出来ず、うつ向いていると頭上からさっきよりも甘い声で歌うように呟く男。

「音葉、こっち向いて?」

優しく、子供に言い聞かせるように呟かれたそれにおそるおそる顔を上げる

と。

「…。」

「…。」

至近距離で目が合う。
何でも見通かされているようで怖くなった

沈黙を破ったのは甘いノイズ

「俺は和八。
 和むに八でカヤ。」

やんわりと抱き締められていた腕をほどきながらカヤと名乗った男。

「…カヤ?」

そう男が名乗った名前を復唱すれば心底嬉しそうな無防備な笑みを見せられた。

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