反響ノイズ
私がこの体質のようなものを止めるために出来ることなんて一つだ。
歌うだけ…
そう、ただ歌うだけ…
「…っ」
鈍痛が響いて、思考が鈍くなる。
音の渦に飲み込まれるような、自分がいなくなるような
そんな感覚だ…
早く、早く歌わなきゃ…
どんどん溺れていくようなこの感覚が大嫌いだっ
もう一度ベッドフォンをしてから大きく息を吸い込み、叫ぶよう歌う
祈るように、ただ音を感じた。
___...。
やがて私に届いていたノイズは消え、自分の歌声だけが響く
「はぁ…。」
深呼吸をして息を整える
いつものようにノイズは聴こえなくなり、辺りはシンッと静まりかえる。
そう、いつもなら、だ。
「綺麗な声だな。」
「…っ!」
ドアの方から、あり得ないほど甘く綺麗な音が私の鼓膜を叩いた。