反響ノイズ

驚いて振り替えると、ドアの横の壁に腕を組み寄り掛かり立つシルエットを見つける。

先程の声からして男だと思う。
…どこかで聴いたことがある、気がするが、どうも思い出せなかった。

ずっと窓の外を見ていた私では男の顔を認識できない
てか、いつから居たのよ…

「誰、」

「ねぇ君、名前は?」

「は?」

わざとなのか偶然なのか私の言葉に被せて問う男。

「は?じゃなくて、なーまーえ」

俺の言ってることわかる?なんて人を馬鹿にしたようなものに若干というか、かなりイラッとしたが…

「_は。」
何故だろう、

「…ん?」

「だから…音葉、だって。
 音に葉っぱの葉で音葉…
ムカつくのに、逆らえなかった。
こいつの…声に。

「オトハ、音葉か…へぇ、いい名前じゃんっ」

キミにぴったりだね。なんて、
コツリ、一歩前に出た男の顔が月明かりに照らされる。

「…っ」
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