天使ラビィの不思議な珠

サユちゃんが帰った後、ボクはお迎えがくるまで自分で絵本を読んだ。

不思議な珠を失くしてから、ラビィはおかしくなっちゃって。
カピィは、珠を取り戻すために池に入って溺れちゃうんだ。

すごいな、って思った。

ぼくだったら、できるかな。
泳げないから怖い。
だけど大好きな友達が、笑うこともできなくなったら嫌だな。

だって、友達とは一緒に笑いたいもん。

ぼくは、楽しいことが好き。

お母さんにバカっていわれても、変なことを言って皆を笑わせるほうが好き。
だけど、どんなに変なことを言っても、友達が笑ってくれなかったら、ボクもきっと楽しくなくなっちゃう。


「サトルくん、お迎え来たよー」

「はーい」


先生が呼んだから、絵本を本棚に戻して鞄をつかむ。

玄関まで走って行くと、お母さんがにっこり笑って手を広げる。
ボクはそこに飛び込んで、やっぱりにっこり笑うんだ。

ぎゅーってしてあったかくなって。

ほら、やっぱり笑うって大事なこと。
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