天使ラビィの不思議な珠

5.


~*~*~*~


ラビィは、池で溺れているカピィを見つけると、迷わず自分も池に入りました。

ずぶ濡れのカピィは重たいはずなのに、不思議とラビィが引っ張りあげるとするすると浮かび上がってきます。



「カピィ、しっかりして。カピィ」



ラビィは一生懸命話しかけ、肩やほっぺたを叩くのですが、カピィはぴくりとも動きません。


「お願い。カピィ、気がついて」


呼んでも、呼んでも、答えてくれない。
こんなに心細いことははじめてです。

ラビィの中が、怖いと悲しいとで一杯になっていきます。

こわばっていたラビィの顔は、ぴくぴくと動き出し、やがて声も聞き取れる言葉ではなくなってしまいました。


「あ、わ、う」


そして瞳には、涙が浮かび上がってきます。


「う、わあ、うわああああん」


ポロポロとおちてくる涙は、キラキラと光って空中で一つに集まり、やがてひとつの大きな塊になりました。
まるで失くしてしまった不思議の珠のようです。


「珠……」


ラビィがそっとその珠に手をのばすと、周りの景色が見えなくなるほどピカッと光り、カピィの中に吸い込まれていきました。
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