天使ラビィの不思議な珠
「消えちゃった」
ラビィが泣きながら呟くと、カピィの体がぴくりと動き、やがてゆっくりとまぶたが開いていきました。
「カピィ!」
「ラビィ、……え? なに? ボクなにした? ねぇ泣かないでよ」
カピィは自分が溺れたことなどすっかり忘れたように、泣き続けるラビィを慰めます。
その時、空から神様が下りてきました。
タップリとした白いおヒゲと、細い糸みたいな瞳。その表情はいつものようにとても優しそうです。
「カピィ、よく頑張ったね」
「神様、ボク……」
「君が失くしたあの珠は、ラビィの気持ちを少しだけ吸い取る珠だったんだ。ラビィは我慢ばかりしてしまうからね。悲しい時は悲しいってちゃんと思えないと、心はおかしくなっちゃうからね」
「やっぱり!」
だから、珠が失くなっちゃったらおかしくなったんだ。
そんな珠を失くしてしまったことに、カピィがシュンと俯くと、神様は笑って頭を撫でてくれます。
「だけど、カピィが傍にいれば大丈夫そうだ」
「え?」
驚いている二人ににっこりと笑いかけると、ヒゲをたくわえた神様は天上へと戻っていきました。