天使ラビィの不思議な珠

お迎えを待っている時間、ボクはサユちゃんの隣に座って、サユちゃんが描く絵を見ていた。


「サユちゃんって、絵がじょうずだよね」

「そう?」

「うん」

「えへへ。いつもおうちでお絵かきしてるから」


サユちゃんが描いているのはウサギだ。耳がぴんと伸びていて、にこにこ笑ってる。
サユちゃんに似ているかも。


「ボクこの間クマを描いたら、お母さんに『これブタ?』って言われた」


ボクは絵がへたくそらしい。
自分ではじょうずにかけたって思うのに、お母さんが描いたものを当てれたことはない。


「サトルくんは、おうちでは何して遊ぶの?」

「ぼく? えっとね」


なんだろう。
ゲームもするし、ブロックもする。だけどとびきり楽しいのは……。


「……そうだ。キャッチボール!」

「キャッチボールって、やきゅうの?」

「そう。お父さんがお休みの日にしてくれるの。ボクね、このあいだやっとボールをとれるようになったんだ」


いつも静かなお父さんが、すっごく褒めてくれた。
ボク、すっごく嬉しかったんだ。


「わあ、すごいねぇ……」


なんでか、サユちゃんは小さな声。顔も笑っているけど、なんかちょっと寂しそう?


「あっ」

「えっ?」


そうだ、そうだ、そうだ。
サユちゃんち、お父さんがいないんだった。

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