天使ラビィの不思議な珠

お仕事で苦しいなと思うとき、ラビィは不思議な珠を握りしめていました。

そんな時、珠は必ず深い青色になり、ラビィの苦しさを少しだけ吸い取ってくれるのです。


けれど、今日は珠を無くしてしまっていたので、ラビィの心にはモヤモヤしたものが残ったままでした。


「嫌なお願い! こんなの受け取らなきゃいいんだ!」


カピィは頬をふくらませながらプンプン怒っています。
ラビィと違って、カピィはいつも素直に気持ちを言葉にするのです。


「でも、お仕事だから仕方ないよ。私が受け取ったから大丈夫。ほら、神様に届けに行こう?」


微笑むラビィに、カピィは笑いかけることができませんでした。
どうしてラビィがそんな風に言えるのか、わからなかったからです。


嫌なお願いは、誰にだって苦しいはずなのに。
平気なはずはないのに。
どうしてラビィはいつも笑うんだろう。

嫌なお願いを一杯運んでいたら、ラビィの心が凍りついてしまうかもしれないのに。

< 8 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop