璃琥―riko―
好きな人が出来ればやめるのかなぁ?
………無理だな。

夜來は他の人のためならば自分を押し殺す。自分の意思とは別の行動をする。
自分のことを大切に出来ない人だから、大切にしようともしない人だから、強くて…弱い。
だからこそ、コチラが夜來を気にかけているんだよね。
雨來も夜來も……不器用な人だ。

「あ、今日はしょうゆ安いんだよね」

「お前は主婦か!!!」

ナイスつっこみありがとう。夜來。
しかも、手でつっこみもいれてくれて。
今日は確か、丸山スーパーが安かったはず……いや、西河スーパーもなかなかなんだよね。どっちを行こうか……

「うーちゃん、チ…」

「はい」

雨來のほうを振り向くと苦笑いしながらチラシを渡された。丸山スーパーと西河スーパーと羽山スーパーやらのチラシを。流石だね。
どこかのだれかさんとは大違いだよ。

「あ゛?なんか言ったか」

「別になにも言ってないよ?ただ何処かのだれかさんはうーちゃんに比べて駄目だなぁって思っただけだよ。ほんと、何処かのだれかさんとは大違いだなーって思っただけだよ。」

「俺のことかよ!!!」

「「分かってたんだ。」」

うーちゃんと言葉がはもった。凄い。久し振りだよ。うーちゃんとはもったのは。明日、雪降るのかな?それとも槍?
いや…………雨が降るな。よく言うじゃん?珍しいことがあると雨が降るって!
ボカッ!!
夜來に叩かれる。頭を。
しかも昨日色々…多分あってかなり痛いところを。

「痛い……。」

「まったくそう見えねぇけどな」

冷たい目で冷たいつっこみ。
しかも、ちゃっかしもう一回叩こうとしてるし。手を構えている。
さっきよりも強く叩こうとしているのだろう。背後に鬼が見えるぐらいだ。

《もう一発大丈夫だろぉ~》
なんてかなぼうを構えて言ってる気がする。いや、絶対言ってるって!!
私を殺す気なの!?この人!!!




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