恋の糸がほどける前に
私は、水原が好き。
その気持ちはきっと変わらない。
……だけど────。
真夏の教室。
こらえ切れずに漏れる嗚咽が、ミンミンと騒がしくも元気のいい蝉の鳴き声にまざって、だけど溶けあうことはできずに苦しげな色を浮き彫りにされる。
絶対変わることは無いと思っていた貴弘との距離。
────私は、どうしたらいい……?
進む方向を見い出せないまま、混乱したまま、今の私には何も分からなかった。
どうしたらいいのかも、どうしたいのかも、分からなかった。