恋の糸がほどける前に
♯1
「……み、葉純!!」
「へっ!?」
ハッとして顔を上げると、心配そうに眉尻を下げた芽美の顔が視界に飛び込んできた。
「大丈夫?具合悪い?」
「う、ううん!暑くてちょっとボーっとしちゃっただけ!」
ごめんごめん、と笑って見せる。
芽美が本当に納得してくれたのかどうかはわからないけど、「そっか」と頷いてくれた。
ホッと思わず息をつく。
芽美に問いただされたら、抑えている感情全部、吐き出してしまうに違いないから。
貴弘に想像もしていなかった告白をされたことも、海で水原と抱き合ったことも、芽美にはまだ言っていなかった。
隠しているつもりはなかったけれど、なんとなく言いだすタイミングがなかったんだ。
それに、芽美にとって雫先輩や貴弘は知り合いで、ふたりがどれだけお似合いでラブラブカップルだったのかを目の前で見ているだけ余計に、言い辛い。