恋の糸がほどける前に
「みんな来てるかな?課題終わってない人は来られないよね。ていうか葉純、よくあの大量の夏期課題終わらせたよね」
葉純は絶対無理だと思ってたのに、となんとも失礼なことをさらっと言ってくる芽美。
「……私も奇跡だと思う」
「あはは」
今日は、夏休み最終日。
沈みかけた日に照らされ深いオレンジ色に染まった学校までの道を、私は芽美とふたり歩いている。
うちの学校は結構な進学校なせいで、昔から修学旅行というものがないらしい。
そのせいなのかはわからないけど、夏休み中にクラスや学年ごとに簡単な行事がある。
内容はその年で違うみたいだけど、今年はうちの学年全体で、肝試し。
2年生はキャンプ、3年生は勉強合宿だったらしいから、上級生に比べるとだいぶ手抜きだなぁなんて思っちゃうけど。
行事の内容は先生方が決めるみたいだから、私にはどうしようもないことだ。
せめて来年は、今年の2年生のようにキャンプだといいなぁ。