恋の糸がほどける前に
「あ、結構集まってるね」
校門をくぐると、きゃあきゃあとざわめきが聞こえてくる。
広いグラウンドの校舎側には人の群れができていた。
クラスごとになっているようで、私と芽美はクラスメイトの顔を見つけて仲間に入れてもらった。
きょろきょろと視線を彷徨わせてしまうのは、もう無意識。
……どうしても、探しちゃうよ。
こういうお祭りごとが大好きなあいつだもん、いないわけがない。
「よっ」
……ほら。
やっぱり、だよ。
後ろから聞こえた声に、ドキンと心臓が鳴る。
久しぶりに耳に触れた声は、想像以上に胸に強く響く気がした。
一度、心を落ち着かせるように息を吐いて、振り返る。
「……ひ、ひさしぶり」
「あはは、何どもってんの?緊張?」
私のドキドキを笑い飛ばすような水原の口調に、思わず「緊張して悪いかっ」と突っ込みたくなる。
緊張、するよ。
会えない時間は、想いをしぼめるどころかどんどん膨らませるばかりで、困るくらいだったもん。