恋の糸がほどける前に
えへへ、と笑いながら言う芽美の声に、私の後にクジをひいた水原が、「え」と声を上げた。
「柳田、11?」
「え、うん」
「おー、俺も!」
ぴら、と開いたクジを見せてきて、白い紙には大きく「11」と書かれてあった。
それを見た途端、芽美はキュッと眉を寄せる。
「……え、何?その反応」
「だって、水原くん頼りなさそうなんだもん」
「は」
「女の子がよかったな」
「……」
芽美、容赦ないよ……。
本音なんだろうけど、いつも以上に率直な言葉に、もしかして私に気を遣ってくれているところもあるのかな、なんて考えてしまう。
「12番の人、だれー?」
私のかわりに、芽美が周りに向かって声を掛けると、はいはい!といつも一緒に行動するほどではなくとも、結構仲のいいグループのなかの一人が駆け寄ってきてくれた。