恋の糸がほどける前に

えへへ、と笑いながら言う芽美の声に、私の後にクジをひいた水原が、「え」と声を上げた。


「柳田、11?」

「え、うん」

「おー、俺も!」


ぴら、と開いたクジを見せてきて、白い紙には大きく「11」と書かれてあった。

それを見た途端、芽美はキュッと眉を寄せる。


「……え、何?その反応」

「だって、水原くん頼りなさそうなんだもん」

「は」

「女の子がよかったな」

「……」


芽美、容赦ないよ……。

本音なんだろうけど、いつも以上に率直な言葉に、もしかして私に気を遣ってくれているところもあるのかな、なんて考えてしまう。


「12番の人、だれー?」

私のかわりに、芽美が周りに向かって声を掛けると、はいはい!といつも一緒に行動するほどではなくとも、結構仲のいいグループのなかの一人が駆け寄ってきてくれた。

< 111 / 283 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop