恋の糸がほどける前に

「12番、あたしだよー。ペア、芽美ちゃん?」

「あ、違」

「そうなのー!結衣ちゃん、よろしくね!」

否定しようとした私の言葉を思いっきり遮った芽美。


「「え!?」」

私と水原が驚いて綺麗にハモってしまったけれど、芽美も結衣ちゃんもそれを気にするそぶりすらない。


「あ、ごめんごめん、持たせちゃってて」

と私の手から12番のクジをするりと取り上げて、代わりに自分のクジを私に握らせた芽美は、楽しそうに結衣ちゃんとお喋りをはじめてしまった。


「……え。これどういう展開……?」


取り残された私と水原は、思わず呆然としてしまったけれど、なんだかおかしくなってしまって。


「あはは、柳田ってホント自由だよな!」

「本当だよね」


と結局水原と笑いあうことになっていた。


芽美、やっぱり私のことを気遣ってくれたんだ……。


「じゃ、行くか!」

「そうだね」

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