恋の糸がほどける前に

校舎の中に入るときクジの番号を確認するのは、どうやらクラス委員の役目のようだ。

私と水原がペアだと知った委員長は、「ふたりともホントに仲いいねぇ」と呆れたように笑った。


そんな委員長に私と水原は思わず苦笑を零して、先に入った芽美と結衣ちゃんの後ろ姿が見えなってから、薄暗い校舎に入る。


まるで、この校舎には私と水原の他には誰もいないんじゃないかとさえ錯覚させられるのような、シンと静まりかえった空気は、心なしか外より冷えて感じた。

……そんなはずないのに。


いつも使っている廊下なのに、それがまるで知らない場所に思えてきてしまうくらい、暗闇の効果は抜群だった。


……うん。

単刀直入に言うと。


……思った以上に、怖い……!

夜の学校が、まさかこんなに怖いものだなんて知らなかったよ……!



「これって、どうすればいいんだっけ」

「し、しっかりしろよ。音楽室からあるものを取って戻ってくるんだろ」

「あるもの、って何!?」

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