恋の糸がほどける前に

あのときの雰囲気でなんとなく二人かと思ってたけど。

なんだかいい雰囲気じゃない!?とか、ひとりで嬉しくなっちゃったけど。

たしかに、水原、「ふたりで」とは言ってなかったよね。


どうなんだろう……。


行ってみないとわかんないなぁ……。



表向きは、冷静に返事をしているつもり。

芽美に動揺が気付かれませんように。

ひとりで舞い上がっていたなんて、恥ずかしいもん。


「というか部活終わってからになっちゃうから、あんまり時間ないんだけどね」

「あ、そっか。ふたりとも今日も部活あるんだもんね」


少し残念そうに、芽美が息を吐いた。


「あ、そろそろ行かなきゃ」

「部活がんばって。報告待ってるね」


時計を確認して鞄を肩に掛け、歩き出した私に、楽しそうに笑う芽美。

報告、って。


「何もないよ?」

「わかんないよ!いきなり告白されちゃうかもしれないじゃんっ」

「無い無い。……でも、今度話きいてね!」

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