恋の糸がほどける前に
……ああ、そうか。
不思議なくらい安堵した自分に、ようやく気付く。
私、怖いんだ。
不安定なこの状態が怖い。
そうだよね。
今のままじゃ、貴弘にも水原にも、雫先輩にだって失礼だ。
勇気がない、なんて簡単に逃げるのは、そろそろ終わりにしなくちゃダメだよね。
「……貴弘に会わなきゃ」
会って、ちゃんと言おう。
ごめんなさい、と。
貴弘の気持ちには応えられないと、ちゃんと言葉にして伝えよう。
それでもしも、心地いい関係が崩れてしまうとしても、
もう今まで通りになれないのだとしても、
そうしなければ私はずっとこんなふうに不安定なままで、きっと前に進めないんだ。