恋の糸がほどける前に
「生徒会って、見回りとかそんなことまでしなきゃならないんだ」
「ホントアホらしいよなー。こんな面倒がなきゃお前のこと誘うつもりでいたのに」
はぁ、とため息を吐きながらそう言って、靴をはき替えた貴弘。
「……え?」
あまりに当然のように言うから危なくスルーするところだったけれど。
この人今、なんて言った?
「だから。何もなかったら葉純のこと誘おうと思ってたんだって。最近忙しくて会えてなかったし」
「会えてなくないよね!?あんた暇さえあればお兄ちゃんのところに来てたじゃん……っ!」
「あれは純希に勉強教えに行ってただけ。あいつ、出来そうな顔してバカだから。このままじゃ留年だなんて言われてびびったわ」
呆れるような声でそう言った貴弘。
ていうか、お兄ちゃんがおバカさんなのは今に始まったことじゃないよ。
「つか、ふたりで会えなきゃ意味ないだろ」
「は、……え、なに」
なに、この人。
本当に貴弘?
こんなこと言ってくるようなやつだったっけ……!?
「……まぁ、俺が誘ったところでおまえはどうせあいつと行くんだろうけど」