恋の糸がほどける前に

「つーか、そういうお前はどうなんだよ!三浦の方が俺よりテストの点数低かっただろ」

「ふーんだ。私は昨日芽美にばっちり教えてもらったから大丈夫だもーん」


いいでしょー、と自慢げに言ってみたら、水原は本気で羨ましそうな顔をした。


「なんでその勉強会、俺も呼んでくれなかったんだよ。柳田に教えてもらうとか、ズルイ」

「いやいや、水原にだって勉強できる友達、いるでしょ!教えてもらえばよかったじゃん」


大体。

昨日は勉強を教えてもらうよりも恋バナに話が傾いていたから、水原なんか呼べるわけない。

うん。呼べるわけ、ないじゃん……!

昨日の、芽美や萩野先輩との会話を思い出してしまって、自分でも止められないままに顔に熱が上った。

やっぱりなんか、恥ずかしい!


「そりゃあ、そういう奴もいるけどさぁ。やっぱり柳田は別格でしょ。学年トップじゃん。中学のころから頭いいとは思ってたけど、やっぱすげー奴だったんだな」

「今知ったの?中学のころから、県内模試はいつもトップだったよ」

「まじか」

驚いたような水原。


今の高校には、私と同じ中学出身の子が結構いる。

水原も、そして芽美も、中学どころか小学校から一緒で、いわゆる幼なじみってやつだ。

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