恋の糸がほどける前に


何も言えない私にも、芽美はそんな私の動揺を気にすることなく、言葉を続ける。


「私ね」


一度言葉を切った芽美は、ようやく星空から私に視線を向けた。

まっすぐに、目が合う。


「……ずっと、葉純に幸せな恋愛をしてほしい、って思ってた」


「え……」


いきなり何を言うんだろう、と戸惑った声を上げると、芽美はクスッと笑う。


「葉純、すごく鈍感だから。周りの目にも、自分の気持ちにも。……葉純が水原くんを好きなことなんて、葉純が打ち明けてくれるずーっと前から気付いてたよ」


「うそ!?」


私、自分の気持ちに気が付くまでは、水原にドキドキなんてしなかったよ……!?

それなのに、芽美には私がずっと水原のことが好きなように見えてたの!?


「ホント!……私、葉純のそういう一途なとこ、憧れてたんだ」


ふわっと笑って、芽美は再び視線を空に向けた。


「……どれだけ葉純が水原くんを好きか、私はちゃんと分かってるから。伝わってるから。そんなにもまっすぐな恋ができて、すごくうらやましいよ」


「……芽美」

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