恋の糸がほどける前に
「……信じる?」
「そう。信じるの。……私が言えるのは、それだけ」
芽美は、ずーっと仲良しの、親友で。
私のいいところを教えてくれるし、悪いところも指摘してくれる。
いつだって私のことを、私よりずっと分かっている。
芽美の言葉は、迷うことなく信じられる。
────『信じて』
親友にもらった大事なアドバイスを、私は心の中でもう一度噛みしめるように唱えた。
────それから少しして日付が変わるころ、先生たちの指示で外から合宿棟に戻ることになった。
ぞろぞろと長い列が建物の中に吸い込まれていく。
私のクラスはその列の最後尾だった。
誘導係をしていた生徒会の人が、私のクラスが全員合宿棟に入ったのを確認して、ドアを閉める。
ぼんやりと、その様子を眺めていた。
「葉純?行かないの?」
隣を歩いていたはずの芽美の声が前から聞こえる。