恋の糸がほどける前に

「貴弘、ごめんね。急に呼び出したりして」

「別に。暇だったし。……葉純、あのジンクス知ってるか?」

「ジンクス?……あ、もしかして鍵のついた部屋でどうのこうの、ってやつ?」




────この合宿棟のどこかに、鍵穴に鍵がささったままの小部屋があって、そこの窓から流れ星を一緒に見ることができた男女はずっと一緒にいられるらしい。




担任が披露していたことを思い出してそう訊くと、貴弘は頷く。


「……それ、この部屋」


「え!?」


あっさり言われ、驚いてドアを見た。


入ってくるとき、鍵穴に鍵なんて刺さってなかったよね!?



「あ!!」


内側にささってる!!

鍵!!


「ホントにある部屋だったんだー!七不思議的なものかと思ってたよ!」


「ま、今日はたまたまあいてたからこの部屋にしただけだけどな。……で、会いたいって何?亮馬のことやっと諦めて俺のとこ来る気になった?」


「あ……、と。あのね」

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