恋の糸がほどける前に
だから今は、キミに本当に気持ちを言うね。
キミが、私のせいで痛みを感じることがなくなるように。
私もキミも、ちゃんと次に進めるように。
「好きになってくれて、ありがとう。貴弘のこと、本当に大切で、大好きだよ。
……でも」
あとひとこと。
キミを傷つけるのは、これできっと最後にするから。
「……ごめんなさい」
言葉と同時に勢いよく頭を下げたら、目の淵に溜まっていた涙が宙を舞い、ぽたりと床に落ちていった。
「やっぱり私は、水原のことが、好きです……っ」
ぽたぽたと床に沁みをつくっていく涙。
堪え切れずに喉から零れた嗚咽が言葉を阻もうとするけれど、なんとか最後まで声を押し出した。
「……」
しばらく部屋を包んでいた静寂。
貴弘の言葉を聞くまでは、とずっと頭を下げていたら、どんどん床を涙が濡らしていった。
何も言ってくれない貴弘に、不安が大きくなったけど、しばらくして貴弘がひとつ息を吐いて。
「……ん。わかった」