恋の糸がほどける前に
私が顔を上げたら、苦笑された。
「ひでぇ顔。ブサイクな泣き顔だなー」
「ひ、ど」
ひっく、と嗚咽が邪魔をして言葉が上手く継げない。
そんな私を見て、貴弘はまた、笑った。
だけど、すぐに真剣な顔になる。
「……あいつにはもう雫がいるよな?」
貴弘の声に、チクリと胸が痛んだ。
ゆっくりうなずく。
「うん、……わかってる」
そう言うと、貴弘は苦笑して。
「……そっか」
静かにそう言うと、ポスッと優しく私の頭に置いた。
そのままわしわしと頭を思い切り撫でてきて。