恋の糸がほどける前に
バーベキューできるし!
体育に水泳もあるし!
花火もできるし、夏休みもあるし、お祭りだってある。
うん、やっぱり素晴らしすぎるでしょ、夏!
「きっと、もうすぐ梅雨もあけるよね!あー、楽しみだなぁ」
「……そういうとこ変わんねーよな、昔から」
「ん?そういうとこって?……ていうか、水原の家こっちじゃないよね」
家はそれなりに近いけど、駅からは逆方向なはずだった。
なんとなく歩き続けていたけど、今の進行方向だと、私の家には近づいているけど水原の家からは遠ざかっているような……。
「楽しんでるの、すげー伝わってくるから。三浦のそういうとこ、変わんないなーって思ってさ」
水原はそこで一度言葉を切って、小さく唇の端を上げた。
「さすがに送るよ。もう21時すぎてるじゃん」
当たり前みたいにそう言った水原に、心臓が大きく鳴る。
「お前も一応華の女子高生ってやつだしな」
「い、一応、は余計っ!」