恋の糸がほどける前に
真剣な瞳が私をうつしているのが分かって、思わずぼうっとしてしまった。
私が何の反応も返さないことに水原はきゅっと眉を寄せ、語気を強くしてもう一度、
「わかった!?」
と訊いてくる。
「えっ……!あ、うん、わかった!」
慌てて頷くと、水原はしばし私を見つめたまま疑わしそうにしていたけど、やがて小さくため息をついて視線を逸らした。
「……本当に分かってんのかな」
「わ、分かってるってば!」
はー、と大きく息を吐き出して頭を抱える水原が、なんだかいつもより男の子に見えてドキドキするのは、私のことを心配してくれている嬉しさがそうさせてるの?
そんなに不安がらなくても、こんな小娘誰も相手にしないから大丈夫だよ。
……なんて、心の中ではそう思うけど、そう言ったらきっといつまでもこの押し問答は終わらないんだろうな。
「……飲み物、買いに行くか」