恋の糸がほどける前に


「え、手?……うわっ!?」


私の視線をなぞっていった目が繋がれた手を映した途端、水原は驚いたようにそう声を上げて勢いよく手を離した。

ぶんっと自分の手を振り上げて、私から距離を取る。


そのあまりの勢いに私まで、振り払われた手がさびしいと思うよりも驚いてしまった。


「……え、そんなに驚いたの?」


「お、驚いた……。俺、いつからお前の手、掴んでた?」


そこから無意識なんだ、と思わず呆れてしまった。

もう、なんだか笑えてくる。


「結構最初から掴んでたよ」


「……マジで?」


信じられない、という顔で言うから、なんだか可笑しい。


「嘘、ホントに無意識なの?私、ここまで水原に引っ張られて来たんですけど」

「本気で無意識。……どんだけ必死だったの俺!」

「あはは。必死、って何?」


水原がなんだか照れてるみたいに見えて可笑しくて、ついからかいたくなってしまった私は、はあ、とため息交じりに俯いてしまった水原の顔を覗き込みながら訊いてみるけど。

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