恋の糸がほどける前に
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「ふー……」
芽美にあれこれ相談に乗ってもらっていたら、あっという間に時間が経っていた。
未だにザーザーと降り続いている雨の中、可愛らしいピンク色の傘をさして帰っていた芽美を見送って、家に入る。
「友達、帰ったの?」
「!?」
玄関で靴を脱いで家に上がったら、不意に目の前に大きな影ができて、それと共にどこか面白がるような口調の声が聞こえ、驚いて顔を上げた。
だけど、目の前で壁に寄り掛かるようにして立っていたのは私のよく知る顔だったから、驚いて跳ねあがっていた胸をなでおろす。
「なんだ、萩野先輩か!全然気配ないんだもん、めっちゃびっくりした」
あはは、と笑ってそう言うと、萩野先輩はわざとらしくため息をついた。