恋の糸がほどける前に
だけど。
「当たり前だろ」
なんの躊躇いもなくそう返されて、どうしようもない恥ずかしさに襲われたのは私のほう。
さっきまでの余裕はどこへやら、水原のほんのひとことで舞い上がってしまう私はどうやら相当重症だ。
「えーっと。オレンジだっけ?」
辿りついた自販機で飲み物を買っている水原が、もうすっかりいつもどおりなのがなんだか悔しい。
くそう、さっきまであんなに焦ってたくせに。
「……水原のばーか」
どうしてこんなに好きにさせるの。
本当、責任とってほしい。
「は?なんか言った?」
水原はハイ、と私が頼んだスポーツドリンクを手渡しながら首をかしげる。
……この、鈍感野郎っ!!
「なんでもないです!!」
「……何怒ってんだよお前」
気付いてよ。
私、こんなに好きなんだよ。