恋の糸がほどける前に
芽美はきっとお兄ちゃんや貴弘とちゃんと会うのは今日が初めてだったと思うし、雫先輩も芽美や水原と会うのは初めてだったと思う。
今日のメンバー全員とちゃんとした顔見知りだったのはきっと私だけだったけれど、そんなことは微塵も感じさせない皆の明るさ。
あたたかい距離感。
居心地がいいなと、心から思った。
今だって、なんだか久しぶりにあったイトコどうしのような、普段はなかなか会えない親戚の集まりみたいな、そんな雰囲気なんだもん。
テーブルを囲んでお菓子やジュースを頬張りながらのおしゃべりは本当に楽しい。
「雫さんと萩野先輩って本当に美男美女カップルですよねー!羨ましいです」
会話の中でふいに芽美が、並んで座っている雫先輩と貴弘を見てそんなことを言った。
芽美は本気で羨ましそうな顔をしていたけど、可愛くて優しくて頭も良くて、なんていう出来すぎたこの親友は、モテないわけがない。
芽美さえその気になれば、すぐにでも美男美女カップルに仲間入りできるのに。
熱しやすく冷めやすい体質だから、好き、になる前に冷めてしまうことが多いんだよね、昔から。
「亮馬もモテそうだよねー。ずばり、好きなタイプは?」