恋の糸がほどける前に
申し訳なさと悔しさが混ざり合って涙になる。
どうして私、こんなに無力なんだろう。
キュッと強く拳を握り締めたと同時に、また涙が溢れてきて嗚咽が零れた。
「……なさい……っ」
「え?」
「私の、せいだよ……!ごめんなさい……っ」
私がひとりでフラフラ外に出たりしたから。
私が、無防備だったから。
私が、弱いから。
水原が私の代わりに傷付くことになってしまった。
「……俺、喧嘩とかしたことないからさ」
ぽつりと、水原が苦笑をにじませて言う。
「慣れてなくて、弱くて、ごめん。映画とかドラマのヒーローみたいに、颯爽とあらわれて悪い奴らなんかボコボコにできたらよかったんだけど」
「なに言ってるの?来てくれただけで嬉しかったよ」
俯いていた顔を上げると、水原は泣きそうな顔で、笑った。
そして、小さく首を横に振る。
「見てる方も辛かっただろ?……怖い思いさせて、ごめんな」
「……っ」