恋の糸がほどける前に

「それなりに上手くいっているつもりだったから、私、受け入れられなくて……」


「雫先輩……」


傍(はた)から見ても、すごくラブラブでお似合いなふたりだった。


貴弘がどうして突然雫先輩をフッたのか、私にも理解できない。


海で一緒にいるふたりは、とても幸せそうだったのに。



落ち込んでいる雫先輩に掛ける言葉が見つからなくて、そんな自分が情けなかった。


「……ごめんね、葉純ちゃん。こんな話して……。私、行くね。お疲れ様」


何も出来ない私にも、気を遣って笑ってくれる雫先輩。


遠ざかっていく後ろ姿を眺めながら、何もできないことが悔しくて、思わず唇を噛みしめていた。



……ほんとに!!


なにしてくれてるの、あのバカ!!


あんなに雫先輩を傷付けて。


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