恋の糸がほどける前に

「廊下でそんな叫んだら響くだろ。本気でお前、どこまでアホなの?」


「貴弘ほどじゃないよ!!本当に、どうして雫先輩をフッたりしたの?雫先輩が受け入れられない理由ってなに?」

雫先輩は、後輩の私が言うのも失礼だけど、すごく物分かりがよくて自分のことより人のことを優先させてしまうような、いうなれば「いい人すぎる」人だ。


そんな先輩が、告げられた別れを受け入れられないと思うなんて、彼女にとって貴弘との別れが本当に突然だったか、告げられたはずの別れの理由が納得しようのないものだったか、どちらかだと思う。



「……俺と雫のことだ。お前には関係ない、……って言いたいところだけど」


「え」


関係ない、で切り捨てられると思っていた私は、まさかの言葉に目を瞠った。


そんな私をまっすぐに見つめてくる貴弘の視線の強さに、パッと視線を逸らしてしまう。


なになになに……!?

どうしてそんなに見てくるの!?


「私も関係ないわけじゃない、ってこと……?」


「そう。関係ある」


「……ちょっと意味がわからないんだけど……」

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