始まりは恋の後始末 ~君が好きだから嘘をつく side story~
「ここにはないですよね」

そう言われて夜中のことを思い出す。
『・・そうだ、服はリビングにあるんだっけ』
澤田くんが来てリビングで話した流れのまま抱き合ってしまったのだから、全ての服が向こうにある。
じゃあ!と起き上がろうとすると、彼に軽く肩を押さえられた。

「少し待っていて」

そう言うと、彼は立ち上がり隣のリビングへと歩いて行った。
その後ろ姿をついジッと見てしまう。
背が高くて、スリムな身体。その後ろ姿はキレイと言っていいと思う。ついお尻に目が行ってしまい、小さくて引き締まっていることにため息まで出てしまう。

「本当に非の打ち所がないよね・・」

そんな男が自分の彼氏?私大丈夫?と焦りに似た感情がフツフツと湧いてくる。
そしてそんな綺麗な裸体を見せられて、思わず自分の身体を毛布で隠していると、何も知らない彼はボクサーパンツだけ履いて私の服や下着を手に戻って来た。

「はい、どうぞ」

手渡された服を受け取り、ここで着替えるかふと躊躇する。なんだか気恥ずかしいような何とも言えない気持ち。
私にまだこんな感情があったなんてと苦笑したくなる。
そんな私の感情を察知したのかどうなのか、彼は「向こうにいますね」と部屋を出て行った。
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