ラストバージン
Count,06 自然体に笑顔
昨年末にオープンしたばかりだというカフェは、休日だという事も相俟ってなのかカップルで賑わっていて、どうにも居心地が悪い。
店内の八割を占めるカップルのせいにしたところで、店先から笑顔の佐原さんが戻って来た。
「すみません、お待たせしました」
(もっとゆっくりでも良かったのに……)
申し訳なさそうな佐原さんに、「いえ」と笑顔を向ける。
基本的に土日祝日が休暇だという彼からの誘いを受けたのは、二度目。
誘われた回数はもっと多いけれど、気乗りしなくて仕事を理由にして断ったり、本当に仕事で無理だったりと、この一ヶ月で随分と色々な言い訳メールを返信した。
一度目は、平日の夜にカフェバーで食事をしただけだった。
そして、二度目の今日はランチをしてから映画を観に行って今に至る、というフルコースに近いスケジュール。
正直、オシャレなイタリアンの味はまたしてもよくわからず、観たかったはずの映画では集中出来ないままエンドロールを迎え、友達となら盛り上がるであろうカフェでは気疲れしてしまっている始末。
だから、佐原さんの携帯が鳴って彼が席を立った時にはホッとしたのに、それも五分と経たずに終わってしまったのだ。
店内の八割を占めるカップルのせいにしたところで、店先から笑顔の佐原さんが戻って来た。
「すみません、お待たせしました」
(もっとゆっくりでも良かったのに……)
申し訳なさそうな佐原さんに、「いえ」と笑顔を向ける。
基本的に土日祝日が休暇だという彼からの誘いを受けたのは、二度目。
誘われた回数はもっと多いけれど、気乗りしなくて仕事を理由にして断ったり、本当に仕事で無理だったりと、この一ヶ月で随分と色々な言い訳メールを返信した。
一度目は、平日の夜にカフェバーで食事をしただけだった。
そして、二度目の今日はランチをしてから映画を観に行って今に至る、というフルコースに近いスケジュール。
正直、オシャレなイタリアンの味はまたしてもよくわからず、観たかったはずの映画では集中出来ないままエンドロールを迎え、友達となら盛り上がるであろうカフェでは気疲れしてしまっている始末。
だから、佐原さんの携帯が鳴って彼が席を立った時にはホッとしたのに、それも五分と経たずに終わってしまったのだ。