ラストバージン
和食を中心に提供しているこのレストランは全国チェーン店で、友達や家族とも何度か系列店に入った事がある。
軽くメニューに目を通したものの、結局はよく頼むランチ御膳を選んだ。
正直なところ、今は食事をするような気分じゃない。
こんな状況で榛名さんと向き合って食事をするなんて、お見合いの時よりも気が重かった。
「もう食べないの?」
「うん。何だか、お腹がいっぱいで……」
怪訝な顔に苦笑を返せば、榛名さんは複雑な笑みを浮かべた。
ぎこちない会話も、気まずい雰囲気も、私達の間に重苦しさを見せるばかり。
今日はまだ、二人して一度もまともに笑えていない。
榛名さんと過ごして来た時間をどんなに思い返しても、こんな雰囲気になった事はなくて……。ファミレスを後にした車内では、それまでよりも更に会話が減ってしまった。
「やっぱりやめよう……」
沈黙の中で車を走らせていた榛名さんが、不意にポツリと呟いた。
「え?」
キョトンとした私に、眉を寄せた笑みが向けられる。
「水族館。今日はそんな気分じゃないだろ?」
そして、榛名さんはため息混じりの答えを口にすると、突然コンビニの駐車場に入って車を転回させた。
軽くメニューに目を通したものの、結局はよく頼むランチ御膳を選んだ。
正直なところ、今は食事をするような気分じゃない。
こんな状況で榛名さんと向き合って食事をするなんて、お見合いの時よりも気が重かった。
「もう食べないの?」
「うん。何だか、お腹がいっぱいで……」
怪訝な顔に苦笑を返せば、榛名さんは複雑な笑みを浮かべた。
ぎこちない会話も、気まずい雰囲気も、私達の間に重苦しさを見せるばかり。
今日はまだ、二人して一度もまともに笑えていない。
榛名さんと過ごして来た時間をどんなに思い返しても、こんな雰囲気になった事はなくて……。ファミレスを後にした車内では、それまでよりも更に会話が減ってしまった。
「やっぱりやめよう……」
沈黙の中で車を走らせていた榛名さんが、不意にポツリと呟いた。
「え?」
キョトンとした私に、眉を寄せた笑みが向けられる。
「水族館。今日はそんな気分じゃないだろ?」
そして、榛名さんはため息混じりの答えを口にすると、突然コンビニの駐車場に入って車を転回させた。