ラストバージン

* * *


「疲れた……」


ぐったりとした体をバスタブに浸けた瞬間、自然と漏れたため息混じりの言葉。
正にその一言に尽きる今の自分の状態に、再びため息が漏れた。


パーティーの後、菜摘はカップル成立した男性と食事に行くからと、パーティー会場で別れた。
私はとにかく早くあの場から離れたくて、スタッフの説明が終わった直後にはパーティー会場を後にし、逃げるように帰宅した。


おかげでレンタルショップに寄るのを忘れてしまったけれど、どうせ今夜は観る気力もないだろう。


高田さんと話している時はそれなりに楽しめたものの、現段階では彼との進展を全く望んでいないのは明白。
そんな男性に、例えメールアドレスでも教えてしまって良かったのだろうか。


菜摘はカップル成立した男性と連絡先の交換はもちろん、今頃どこかのレストランで盛り上がっているはず。
それを羨ましいとは思えないけれど、思っていた以上にやる気のある彼女を目にした事によって結婚からは程遠い場所にいる自分を思い知らされ、むくむくと虚無感が芽生えた。


だけど……深いため息を一つ零し、そんなどんよりとした気持ちに蓋をした――。

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