ラストバージン
* * *
恭子から報告を受けた、二日後。
久しぶりに土曜日に休暇が貰えた私は、夜勤明けの今日と合わせるとこれからほぼ二日間の休日だった。
「まず、四〇一の中林さんの退院手続きは、今日の午前中のうちにお願いします。明日の十三時に中林さんが退院されたら、入れ違いで整形から新しい患者さんが来られるので、至急受け入れ準備をしておいて下さい」
私の指示の一つ一つに返事をするスタッフ達に、次々と連絡事項を告げていく。
「じゃあ、後はよろしくお願いします」
ようやく朝の申し送りで引き継ぎを済ませ、同僚達からの「お疲れ様」の言葉に笑顔を返して更衣室に行き、着替えを済ませる。
それからすぐに病院を出て、メイク直しをしていないボロボロの顔を隠すように電車に乗り込み、家路を急いだ。
途中、夜勤明けの楽しみである楓に立ち寄るという日課をグッと我慢し、真っ直ぐ家に向かう。
帰宅してお風呂を済ませた頃には正午前だったけれど、食欲よりも睡眠欲に負けてベッドに潜り込んだ。
「アラーム、セットしなきゃ……」
十八時にセットしたアラームが鳴るまで起きない事を決めて目を閉じると、あっという間に微睡む事が出来た。