ラストバージン
Count,04 ため息に親近感
すっかり底冷えするようになった、十二月中旬。
クリスマスを目前にした世間は、妙に浮足立っていた。
街は小さな商店街に至るまでクリスマス仕様だけれど、カラフルな装飾に反して私の心はどんよりと暗い。
そもそも、独り身にはこの時期だというだけでも憂鬱なのに……。そんな私を余所に、職場ではイヴとクリスマスの休暇を争奪戦していたりその二日間の予定を楽しそうに話していたりと、気が滅入る事ばかり。
「いいなぁ、恋人がいる人は……。私なんて、イヴもクリスマスも一人ぼっちなのに」
カルテを棚に戻しながらため息をついた酒井さんに、あなたはまだいいじゃない、と言いたくなる。
二十代前半の彼女はまだまだ若く、それなりに出会いだってあるはず。
少なくとも、私よりは遥かにたくさんのチャンスがあるに違いないのだから……。
「私だって仕事だよ」
「主任は虚しくなりませんか? クリスマスに仕事なんて」
「う〜ん、私は別に平気かな。それに、社会人の大半は仕事なんじゃない?」
無理に大人振ったって、虚しさが増すだけなのに……。
いつからだろう。
強がりばかりを口にして、素直な気持ちを言葉に出来なくなってしまったのは……。
クリスマスを目前にした世間は、妙に浮足立っていた。
街は小さな商店街に至るまでクリスマス仕様だけれど、カラフルな装飾に反して私の心はどんよりと暗い。
そもそも、独り身にはこの時期だというだけでも憂鬱なのに……。そんな私を余所に、職場ではイヴとクリスマスの休暇を争奪戦していたりその二日間の予定を楽しそうに話していたりと、気が滅入る事ばかり。
「いいなぁ、恋人がいる人は……。私なんて、イヴもクリスマスも一人ぼっちなのに」
カルテを棚に戻しながらため息をついた酒井さんに、あなたはまだいいじゃない、と言いたくなる。
二十代前半の彼女はまだまだ若く、それなりに出会いだってあるはず。
少なくとも、私よりは遥かにたくさんのチャンスがあるに違いないのだから……。
「私だって仕事だよ」
「主任は虚しくなりませんか? クリスマスに仕事なんて」
「う〜ん、私は別に平気かな。それに、社会人の大半は仕事なんじゃない?」
無理に大人振ったって、虚しさが増すだけなのに……。
いつからだろう。
強がりばかりを口にして、素直な気持ちを言葉に出来なくなってしまったのは……。