ラストバージン
Count,05 120円のココア
年が明けてからも慌ただしい日々が続き、早くも一月が終わろうとしていた。


相変わらずクタクタな日々を送る中、一年弱の期間を要したものの、ようやく主任という立場にも慣れて……。

「では、ミーティングを終わります」

何よりも苦手だった主任ミーティングも、最初の頃よりは要領良く熟せるようになって来た。


「結木さん、お疲れ様」

「あ、お疲れ様です」

「ミーティングの進行、随分上手くなったわね。すごく良かったわよ」


主任達が各病棟に戻るのを横目にカンファレンスルームの後片付けをしていると、私に近寄って来た中尾さんがニッコリと笑った。


「本当ですか? 自分では、まだまだ至らない事ばかりだと思うんですけど……」


「お世辞でも嬉しいです」と笑ってエアコンを切り、カンファレンスルームの鍵を閉める。


「お世辞じゃないわよ。結木さんが頑張っているのが伝わって来るから、皆も真剣に話を聞いてくれるようになったんじゃない?」

「それは中尾さんのおかげです。いつも助けて頂いて、本当に感謝しています」

「やだ、私は何もしてないわよ」


ニコニコと笑う中尾さんがこんな話をするのは、私達しかエレベーターに乗っていないからだろう。

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