チャラ男とちょうちょ
たまに、涙香さんからメールはあったけどあっちだって売れっ子ホスト。
一応ボトルは下ろしてくれたし、そのうちまたお店に来てくれるだろうと思っていた。
他人はいろいろと噂するけど、実際はただのお客様ってだけで何にもなかった。


涙香さんは、お店の後輩瞬くんを連れてきた。
ちょっとは噂を気にしているのかな?と思った。
あたしは、男性を相手にしている。男性は、意外と単純だ。
でも涙香さんは女の子を相手にしている。女はドロドロしてて、何かとめんどくさい。
後輩を連れてくれば、少しは噂も落ち着くだろう。
その日は、瞬くんがよくしゃべってそれを聞く感じになっていた。
涙香さんはこの間入れてくれたルイ13世をゆっくりゆっくり飲んだ。

次は、瞬くんと淕くんを連れてきた。
その次は、1Caratの従業員を10人ぐらい連れてきてくれた。
それからは、涙香さんがこなくても1Caratのホストたちがちょこちょこkissに遊びに来てくれるようになった。

「さすがに、涙香さんに悪いよね」

「涙香さんが来てくれたおかげであっちの従業員も通ってくれるようになったしな」

「ホストなんて行ったことないけど、一回ぐらいは顔出したほうがいいのかな?」

「ん〜…」

帰りの車で店長と話す。

「リオナだけじゃ、心配だなぁ」

「大丈夫だよ!」

「女は怖いぞ?」

「知ってる〜」

「…こんな汚い話したくないけど、リオナと涙香さんが噂になるとある意味お店的には宣伝になるっていうか…。うちも、あちらも」

「…だろうね」

「だからって、リオナに噂されに行ってこいとは言いたくないし、リオナにはそういう店には出入りさせたくないっていう気持ちもあるな」

「お父さんかってね!」

「リオナのことはずっと見てきてるんだ。これからもな!だから、過保護にもなるわ」

あはは!とあたしは笑った。
でも、これだけお世話になってて悪いという気持ちが強くてあたしは1Caratに次の休みに行くことにした。
店長は、何かあったら迷わず自分に電話するようにと言った。
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