チャラ男とちょうちょ
きちんと店長に報告の電話を入れてから、1Caratに向かった。

涙香さんは、やっぱり忙しくてあたしは騙されたとすぐに思った。
代わりに瞬くんがヘルプについてくれた。
この間よりお酒を作るのが上手くなっていたから、

「上手になったね」

と誉めたら、瞬くんは泣き出してしまった。
よく聞くと、ノルマもクリアできないしそれが苦しくて最近は当欠ばかりしてしまうのだそう。
キャバ嬢も同じで、当日の欠勤は罰金。

「罰金ばっかり重なってお給料もらえなくなっちゃうよ?」

と言うと、瞬くんはこくんとうなずいた。

「最初から、指名バンバン取れる人なんてめったにいないんだから!瞬くん素直だし、きっと瞬くんを指名してくれる人が現れるから当欠しないで頑張ってお店にこないとね!」

瞬くんはまたうなずいた。
あたしは瞬くんの頭を優しく撫でた。
なんか弟みたいでかわいいと思ってしまったのだ。
瞬くんはうれしそうに笑った。
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